兵庫県支部について

兵庫県支部は、平成7年1月15日に設立されました。

平成28年3月までの20年間、兵庫県支部を支えてきて下さった前支部長・現副支部長 村田トオル氏 より

今までの兵庫県支部活動の思いを寄稿していただきましたので掲載させていただきます。


健康運動指導士・健康運動実践指導者として

 

 

 

大阪青山大学 健康科学部 

 

村田トオル

 

 

 

「健康運動」。この言葉がたいへん重要視されています。体力低下,過体重,生活習慣病,ロコモティブシンドローム,介護予防,メンタルヘルスなど・・・これらの改善にすべて運動が期待されているからです。とてもやりがいを感じずにいられないことでしょう。でも一方で指導方法に悩んだり,躊ちょすることもあるのではないでしょうか?

 

 私は子どもの健康運動に特化した実践研究をしています。どうやら,子どもに指導することにより,解決に至るようなヒントがありそうです。

 

今,日本が抱える大きな社会問題に子どもの体力低下問題があげられています。具体的には,親世代と比べると,明らかに走る,跳ぶ,投げるという能力が低下しています。これらは日常生活動作に直結する能力でもあります。また身体活動量の目安である日常歩行数も低下の一途をたどっています。この原因として,「知育偏重による外遊びの軽視」「遊びに不可欠な,時間,空間,仲間の減少」「日常的に子どもを不動にさせる環境」などがあげられています。

 

このまま低い水準での体力や活動量が続けば,国民医療費を圧迫するメタボリックシンドロームの増大をはじめ,年を重ねた時に訪れるさらに深まるであろう様々な問題が待ち受けていることは想像するに難くありません。最近では,日常生活に支障をきたすロコモティブシンドロームやサルコペニアなど憂慮すべき問題も加わりました。このように運動指導者の視点から見れば,「将来のために運動が必要だから,今のうちに体力アップや筋力アップを図らなければならない」となります。確かに「将来」も大切ですが,「今起きている現実」にも大きな影響を及ぼしています。

 

平成28年度より,小中学校では身体測定に運動機能検査があらたに加わります。この検査の目的は主に「ぎこちない動作をする子どものスクリーニング」です。早期発見することは大事なことだと考えますが,見つけてからの対策,そもそもの予防法はどうすればいいのでしょうか?専門家から推奨されているのは「運動遊び」です。「多種多様な動きをするため,1か所に負担がかからない」と発育発達上の運動機能や運動器への効果として期待されています。

 

子どもにとっての健康運動とはつまり,子どもならだれでも大好きな運動遊びであるとおわかりいだけることでしょう。2012年に文部科学省から幼児期運動指針が出されました。指針によると心身の健やかな成長のために,就学までに遊びを通じ,多様な動作を経験し,洗練化することと記されています。では,実際に多様な動作を盛り込んだプログラムを準備したとして,どのように洗練化までもっていくのでしょうか?ここでトレーニングの効果を出すための原則のひとつである「反復性」を思い出してください。課題で示された動きを覚え,獲得し,さらにスムーズに行うには繰り返す必要があります。そのために,指導者は「このメニューを何回で何セット」と指示します。つまり「繰り返しなさい」と言っているのですね。私はこの「繰り返し方」に着目しました。子どもの立場からすれば,指示されて繰り返すのと,自分からもう1回したいと思って繰り返すのとどちらの方がより効果があるのだろうと。答えは明白ですね。私の研究フィールドである元気っず®クラブ(小学校低学年児童対象)ではサーキットプログラムにおいて「我先に並ぶ」「密着して並ぶ」「飛び跳ねて順番を待っている」「終わると走って元の位置に戻る」など意欲的な行動を素直に表しています。そして特筆すべきは「今日はもう終わるよー」と言おうものなら「えーー」とかわいいブーイングが飛んできます。

 

子どもは心と体を分化しては考えられないため,「体重を落とすためにしましょう」「将来の転倒予防のためにしましょう」「疲れているのはわかりますが,あなたのためですよ」という大人対象の運動指導法は子どもには通用しないということを強く示しています。すなわち,子どもは「心が楽しいと感じないと,意欲的に動かない」ということです。

 

思い当りませんか?それまでは楽しそうにしていたのに,時間通りにプログラムをこなそうとするがあまり,せかしたり,途中で予告なしにプログラムを変えてしまうと,なぜだか急に動きが鈍くなったりすること。指導者がよかれと考えて行ったことでも,大人の都合で楽しい時間を止められてしまったので,楽しいと感じなくなる瞬間です。

 

さて,ここで楽しい=継続に欠かせない意欲を支える要因であると解釈すると,大人対象でも同じことが言えるのではないでしょうか?冒頭で述べたヒントとはこの点なのです。

 

おかげさまで,ここ数年は年に2回程度,支部研修会の講師として運動遊びをテーマに講義・実習をしていますが,「これは大人でも共通ですね」というご感想をよく耳にします。 

 

継続は力なりとよく言います。すばらしい運動プログラムの効果を出すため,日本の未来を明るくするためにも楽しさを全面に出した指導法をご提案させていただきます。

 


平成28年1月31日の臨時総会で村田支部長よりバトンを渡され、平成28年4月より支部長をさせていただいております高原久美子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

前支部長のような立派な肩書も活躍の経歴もございません。普段の活動は、『まちの保健室(兵庫県立大学地域ケア開発研究所・舞子・朝霧・明舞)』『RICアメリオ(六甲アイランド自治会運営・健康増進施設』で“楽しくできる運動”指導を行っています。他は兵庫県支部の一員として『鳥取看護大学へ(まちの保健室での実践者の語り)』『三鷹市ピアサポート事業 こころの元気回復市民講座』の指導を請け負った実績がございます。

 

兵庫県支部は、これからも村田支部長が続けてこられた子どもの運動遊びから大人・高齢者まで幅広く運動指導が行える活動を目指していきたいと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。